スライサーを解りやすく解説

2022年12月26日

先月、BOSSのスライサー(SL-2)が発売されて
少しスライサーが話題になるようですが、
以前ツインペダルのSL-20が発表された時に
当ブログでもスライサーを話題にしたことがもありました。

その時スライサーと言うエフェクター名を
はじめて耳にしたのですが、
メーカーの商品説明やサンプル音源では効果が解り難くく
若干内容にに的外れな部分もありました。

img221226-01.jpg

今は手元のマルチにスライサーが入っており
ちゃんと理解できてますので
今回はスライサーの解説記事です。


>ビートに合わせてサウンドを分割することで
>リズミカルなサウンドを生み出すエフェクター

(※BOSSのBOSS SL-2の公式説明文を要約して引用)

私もメーカー解説や販売サイトの説明だけでは
どんな効果か見当がつきませんでしたが、
スライサーの効果自体はスイッチング奏法のオートバージョンです。

近いエフェクターだとトレモロが近いと思います。
トレモロは設定した周期で音量が滑らかに変化します。
いわゆる「正弦波」と呼ばれる変化の仕方です。
スライサーはそれを極端にして音量ZEROとMAXになった感じです。
波の形は「矩形波」と呼ばれるもので音のON/OFFが交互になります。

img221226-03.jpg

各メーカーのスライサーペダルはタップテンポ対応だったり
SFX系の複合エフェクトなどの付加機能が付いてたりしますが、
スライサーの基本的な効果は上記のものになります。

トレモロペダルでも
正弦波/矩形波の切替機能が付いてるものであれば、
付加機能や後述する周期(波)のパターン設定を除けば
スライサーと同様の事が可能です。

中身を知ってしまえば、
「なんだそんな事か」というようなエフェクターでした。


ノンエフェクトのドライ音に
スライサーだけをかけただけのサンプルです。



ON/OFFのパターンは一定(4/8/16分刻み)だけではなく、
シャッフルなど色んなパターンに設定しすることもできます。
(※パターンの数はメーカー/機種によって変ってきます)



音よりも目で見た方が解りやすいので、
波形データの画像です。

img221226-02.jpg
8部刻みのパターンです。

このサンプルパターンなら
波形切替機能がついたトレモロペダルでも同じ事が可能ですし、
アナログ回路でもできそうですが、
シャッフルを始めリズミカルなパターンにも設定できるのが
スライサーならではの部分でしょうか。

また同じ事を手動(スイッチング奏法)でやろうとすると、
片手はセレクター操作をする必要がありますが、
両手が空いて演奏しながらこういう効果が出せるってのは、
使い方次第で面白いサウンドが生み出せそうです。


スライサーがよく解ってなかったころは
もっとデジタルな効果が全面に出たものだと思ってましたが、
ノーマルのストラトでスイッチング奏法を可能にするペダルと思えば、
ちょっとボードに入れたくなるエフェクターでした。

あとディレイやピッチシフターと組合わせると、
アルペジェーター的な事も出来そう。流石にしませんけど。

ギターアンプのセッティング方法

2022年12月20日

img221219-01.jpg

アンプの設定は人それぞれ色々とやり方があるかと思います。
フラットなセッティングをみつけてそこから音を作り込む方、
BASS/MIDDLE/TREABLE全てを真ん中にしてから作る方。

結果的に良い音が出るなら、
どんなやり方でも間違いではないと思います。

しかし私は上記のやり方が向いておらず、
エレキギターを始めたばかりの頃は
中々望む音が出せず苦労しましたので、
今回は私のセッティング方法をご紹介いたします。

まずやり方の前にギターアンプのトーン回路の話をします。
難しい話はないのでお付き合い下さい。
少々回りくどくはなりますが
原理から解ってた方が納得できると思いますので。


【ギターアンプのトーン回路】

ギターアンプのトーン回路部分は
電気信号の増幅機能を持たないパッシブ回路と
増幅機能を持ったアクティブ回路のものがありますが、
基本的にはパッシブ回路の場合が多いです。

下の図はスタジオ等にも良く置いてある
JC-120とJCM2000のトーン回路部分の回路図です。
(※ネットで探した画像ですので
掲載NGの場合は申し訳ありませんがご連絡ください。)

※回路図を掲載してますが読めなくても解る範疇の話です。
私も回路図を読んでも良くはわかりませんので。

img221219-02_jc120.jpg
(Roland JC-120)

img221219-03_jcm2000.jpg
(Marshall JCM-2000)


トーン回路がアクティブの場合は
回路図に三角の記号(増幅回路)が入ります。

こんなやつです。


img221219-05.jpg
JCM2000やJC-120のトーン回路はパッシブなので、
上の回路図にその三角記号はありません。


アクティブなトーン回路をもつアンプの一例として、
私が使ってるMarshall JMP-1の回路図です。

img221219-04_jmp-1.jpg
(Marshall JMP-1)

少し見えにくいかと思いますが、
トーン回路部分がアクティブなので三角の記号が沢山あります。
BASS/MIDDLE/TREABLE/PRESENCEの部分に
それぞれ三角の記号が付いてます。

こういったトーン回路がアクティブのアンプは、
各帯域の信号を増幅させる事も減衰させることもできますので、
摘まみを全てセンターにした音が
電気的にいじってない音になります。

ですがJCM2000やJC-120のようなパッシブのトーン回路は、
少々乱暴な例えかもしれませんが
ギター本体のトーンと同じ原理です。
増幅回路がないので各帯域の信号を減衰させることはできても
トーン回路がアクティブのアンプのように
増幅させる事はできません。

故に全ての摘まみが10(MAX)の状態が
電気的にはいじってない音になります。
(※あくまでも電気的にいじってない音であって、
聴覚的にフラットなサウンドではありません)


ちょっと長かったですが説明はこれで終わりです。
ここからやっと本題です。

【セッティング方法】
ここまでの話を知ってから私は、
トーン回路がパッシブのアンプを使うときは、
BASS/MIDDLE/TREABLEの設定をフルテン(MAX)にし、
ギターからの信号をアンプ側で電気的にいじってない状態から
不要な帯域を絞っていくやり方で音を作ってます。

フルテンで音を出してみて耳が痛ければTREABLEを下げる。
ローが膨らみすぎてたらBASSを下げる。
ドンシャリにしたければMIDDLEを下げるといった感じです。

理屈を知らなかった頃はEQの摘まみを10にする事に、
「こんなに上げて良いの?」って思って抵抗がありましたが、
実際は下げてないだけで上げてるわけではなかったという。


【最後に】
音作りに正解なんてものはありませんし、
結果的に自分がやりやすい方法で良いと思いますが、
本記事冒頭で書いた一般的にギター書やレッスン動画で
よく語られてるセッティング方法で上手くいかない方は
一度試してみても良いんじゃないかと思います。

あと個人的にはこのやり方の方が、
アンプの特徴も生かせるような気がしてます。

posted by しま | Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記

ZOOM MS-70CDR

2022年12月15日

ライブ時の飛び道具用に購入してここ数年愛用してます
ZOOM MS-70CDRの紹介/レビュー記事です。

img221215-01.JPG

私が今はアコギでのライブがほとんどなのと、
エレキの時は歪系は好きなものを使いたいので
ギター用に特化した同シリーズのMS-50Gではなくこちらにしました。
(※理由は後述しますが今買うならMS-50Gを選びます)

まずは操作性からです。

操作性

img221215-02.JPG

ディスプレイ下の3つのダイヤルスイッチと
フットスイッチ及びその周囲に配置された十字キーで操作します。
結構直感的に操作できますので
操作方法が解らずにマニュアルを開いたのは数えるほどしかありません。
マルチに慣れてる方ならほぼマニュアルレスで使えると思います。

img221215-03.JPG

十字キーの真ん中にスイッチがあるのは邪魔ですが、
コンパクトな筐体にコントロール系も詰め込んでますので、
そこはサイズとのトレードオフと思い納得してます。

写真に写ってるフットスイッチハットは後付けですが、
これを付けると余計に操作性は落ちます。
でもフットスイッチハットがないと裸足で踏むとき痛いので
それもトレードオフ。


搭載エフェクト

発売当時はMS-50Gの揺れもの/空間系の
特化・強化版として発売されたMS-70CDR。
MSシリーズのファームフェアアップデート前は
その認識で問題ありませんでしたが、
後のアップデートでMS-50Gに揺れもの/空間系が追加された為
揺れもの/空間系の搭載エフェクトがほぼ同じになったとの事。

細かい搭載エフェクトの詳細については
メーカーサイトを見れば良いので、
兄弟機種のMS-50Gとの違いを説明します。

以下はMS-70CDR/MS-50G両者のマニュアルを見比べて
MS-70CDR独自のエフェクトをリスト化したものです。

人力でリストアップしてますので見落としはご容赦を。

----------------------------------------------------------
・Ba Chorus:ベース用コーラス
・Ba Detune:変調感の少ないベース用コーラス
・Ba Ensmbl:立体的な動きが特徴のベース用コーラスアンサンブル
・Ba Flanger:エフェクト音の低域をカットできるフランジャー
・Ba Octave:原音に1オクターブ下の音を加えるエフェクト
・Ba Pitch:ベースの帯域に適した単音弾き専用のピッチシフター
・160 Comp:dbx 160A風のコンプレッサー
・Limiter:入力信号が一定のレベルを超えたときに圧縮するリミッター
・DualComp:低音域と高音域で異なるコンプレッション効果
・Ba GEQ:ベースの帯域に適した7バンドのグライコ
・Ba PEQ:ベースの帯域に適した2バンドのパライコ
・Splitter:信号を2つの帯域に分割
・Bottom B:低音と高音を際立たせます
・BaAutoWah:ベース用オートワウです
・Z Tron:Q-TronのLPモード風のエンベロープフィルター
・A-Filter:エンベロープの動きが急峻なレゾナンスフィルター
・Ba Cry:ベースの帯域に適したトーキングモジュレーター
・St Bs GEQ:ベースの帯域に適した7バンドのステレオグライコ
----------------------------------------------------------
(※2022年12月現在)

リスト化するとMS-70CDR独自エフェクトはほぼベース用です。
これらも恐らくベース用のMS-60Bには入ってるかと思いますが、
上記リスト化で疲れてしまってそこは未確認です。

逆にMS-50Gに搭載されてる歪系やアンプモデルは
MS-70CDRには搭載されてませんので、
今となってはステレオ入力が不要な場合においては、
ギターリストがMS-70CDRを選ぶ理由はないように思えます。

もしかするとアコースティックギターにおいては、
ベース用のエフェクターの帯域の方が
ハマる事もあるかもしれませんが、
最近は全然時間がとれてないのでその検証は保留中。

エフェクターを沢山使われる方であれば
例えばMS-50Gの後ろにMS-70CDRを繋げば
MS-70CDRのステレオ入力も役に立ちますし、
同時エフェクト数12個という中々凄い事にはなりますが、
ちょっとエフェクトの切替えが大変そうなので、
実用性部分で疑問は残ります。


サウンド

一つ一つ搭載エフェクトの音を解説してるとキリがないので、
私が作成した実際にライブで使用してるプリセットの
3点だけサンプル音源を作成しました。

■アルペジオ用のコーラス



■ディレイ+コーラス+リバーブ


■ボンバー


最初のコーラス意外は飛び道具で使用してます。
ノイズも少なくクリーンな印象のサウンドです。
サンプリングクオリティは高級機には及びませんが、
個人的にはライブ使用前提なら必要十分です。

上記以外のエフェクターでは
Exciter(ソニックマキシマイザーのモデリング)を良く使います。
音が抜けないけれどEQをいじるのは違うって時に重宝してます。
(※これはマメに調整したいのでいつか実機が欲しい)


欠点

パッチメモリーを使用すれば
ペダルでプリセットの切替えもできますが、
登録したプリセットが順番で切替わるだけなので、
曲の中で一部のエフェクトをON/OFFしようと思うと
不可能ではありませんがかなり手間がかかります。

結果的にプリセットの切替えが必要な際は、
私は屈んでボタン操作してますが、
頻繁にエフェクトを切替える方はMSシリーズではなく
フットスイッチが複数付いてる機種を導入した方が良いです。

このシリーズで外部フットスイッチが使える
ニューモデルを出してくれたら嬉しい限り。


まとめ

エフェクトも6つまで同時使用できますし、
ライブ時に一度しか使わないようなエフェクトで、
ペダルボードのスペースを使うのもどうかって時に
これが一台入ってると代用できて便利です。

本機のこの音が実機の音よりも好きだ!ってエフェクトが
今後使い続けてたら出てくるかもしれませんが、
今のところは見つけれてません。
また何か気付いた事がありましたら記事にいたします。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ZOOM MultiStomp MS-70CDR 空間系マルチエフェクター
価格:14500円(税込、送料無料) (2022/12/8時点)




ちなみに電源アダプター付きとアダプターなしのモデルがあります。
私は電池駆動が可能な事とライブでの使用時は
基本的にパワーサプライからバッテリー供給するので
アダプターなしを買いました。


【関連記事】
・ZOOM MultiStompシリーズは音痩せするのか?

タグ:MS-70CDR

エンドピンジャックへのストラップの取付け

2022年12月10日


エレアコのエンドピンジャックへのストラップの取り付けに、
RightOn!STRAPSのEND PIN JACK STRAPLINKを使ってます。

エンドピンジャックは通常のエンドピンよりも径が大きいため、
ストラップ側の取付穴を広げて取付けてる方が多い気もしますが、
そこは多少経費がかかってもストラップの寿命が延びた方が嬉しいので。

img221210-01.jpg

先日END PIN JACK STRAPLINKの2代目が壊れたので3代目を購入。
もう長い事使ってますが、無理にストラップを取付ける必要が
なくなるので結構お勧めです。

ただハンドメイドらしいので品質に個体差はあるかもしれません。

img221210-02.jpg

最初の1代目は5年使ってトラブルはありませんでしたが、
今回壊れた2代目は半年ほどで金具部分が崩壊しました。
もしかしたら使い方が悪かったのかもしれませんけれど。


img221210-03.jpg

新たに購入した3代目取り付け後。
こんな感じで取り付けます。
(※赤いゴム製のストラップロックは付属品ではないです。)


他にエンドピンジャックへのストラップ取付け用の商品は
有名なものだとD'AddarioのCinch Fit Acoustic Jack Lockがありますが、
こちらは取り付け部分が樹脂製なので、
ステージでガシガシ使う私みたいなタイプだと
エンドピンに負荷をかけすぎてしまいそうな気がして、
今はこれに落ち着いてます。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

Righton! STRAPS END PIN JACK STRAP LINK Brown エンドピン用ストラップリンク
価格:1320円(税込、送料無料) (2022/12/8時点)


BBQ金網を使ったエフェクター固定法

2022年12月05日

先日ボードの中身を組み替えました。
一般的な固定方法とは違うやり方でやってますので、
この機会に私のペダルボードの組み方を紹介します。

img221205-01.JPG

BBQ用の金網を用いヘアゴムを裏からSカンで止めて固定してます。
金網はボードのサイズを計って近いサイズのものをネット通販で、
Sカンはホームセンターで購入。

img221205-02.JPG

直接金網にエフェクターを乗せると、
本体が傷つきますので間に印鑑マットを挟んでます。
滑り止めにもなりますしハサミでカットできるので、
容易にサイズの調整ができます。100均や文具店で手に入ります。
印鑑マットは表から見えてしまうとカッコ悪いので、
エフェクター本体よりも一回り小さくカットしてます。

img221205-03.JPG

高さ調整はコルクボードをカットして間に入れてます。
コルクボードは顔料(市販のアクリル絵具)を用いて黒く着色してますが
素材がボロボロと崩れるのを防止する為と見た目の問題です。
※スプレー缶が使える環境ならラッカースプレーの方が良いです。
(塗膜も強いしムラなく塗れますので)

img221205-04.JPG

踏んだ時にずれて動いてしまうペダルには
滑り止めマットをカットして間に入れてます。
こちらも100均で入手できるものです。


エフェクターを傷つけたり汚したりせずに、
入替が容易な方法を模索してこの方法を思いつきました。
自由度は定番のマジックテープの方が上ですし、
固定力は豆カンを使ったネジ止めの方が上ですが、
このやり方はバランスに優れてると個人的には思ってます。

自由度:マジックテープ>BBQ金網>豆カン
固定力:豆カン>BBQ金網>マジックテープ


金網の強度に限界があるので、
大きなボードには向かないと思いますが、
小さなボードで気軽にペダルを入替えたい方にはお勧めです。

これで何年も使ってますが、
ケースを開けてエフェクターがバラバラになってたりした事は
今のところありません。


近い方法としてキッチンの棚などに使用するワイヤーネットに
結束バンドでエフェクターを固定する方法もありますが、
長期間使えば背面及び結束バンドが当たる部分に
擦り傷が入る恐れがあるので私は採用しませんでした。