検索エンジンにて「ZOOM MS-70CDR 音痩せ」のワードで
検索される方が結構いらっしゃるようで、
当ブログにもそのワードでのアクセスが後を絶ちません。
価格が安いので「どうなの?」って
不安に思われる方が多いのかなという気もします。
MultiStompシリーズのMS-70CDRは
私もずっと使っておりますが、
個人的には音痩せが気になるような印象はありません。
しかし「感覚」ってのはアバウトなので、
今回良い機会なので検証してみました。
▍検証方法
ピンクノイズを録音したルーパーを用い、
ルーパーからオーディオI/Fに直で繋いだ音と
間にMS-70CDRをノンエフェクトで挟んだ音を
スペクトラムアナライザで視覚化して比較します。
▍検証結果
[ルーパー→オーディオI/F直]
[ルーパー→MS-70CDR→オーディオI/F]
めちゃくちゃ優秀です。
公式でトゥルーバイパスを謳う説明は見たことがないので、
多少の変化はあるかと思いましたが、
若干ゲインが落ちるぐらいでほぼ変らず。
このゲイン落ちの原因については、
間にペダルが増えたことによる 接点の増加と
パッチケーブルの長さ分の抵抗でしょう。
これはトゥルーバイパスのペダルでも同じなので、
私の中では音痩せの定義には入れてないです。
▍補足
今回ルーパーから出力したピンクノイズで計測しましたが、
ルーパーから出力した信号はギターからの出力よりも
インピーダンス値は低いと思うので、
信号が劣化しにくいという事もあるかもしれません。
その為、検証結果はこのようになりましたが
ギターから直でMS-70CDRに繋いだ場合においては
別の結果になる可能性はあります。
それを検証するには
ピンクノイズの出力信号のインピーダンスを
ギターに近い値に変更する必要がありますので
そこまでは検証できてません。
ともあれこの検証結果から
2台目以降の接続であれば、
信号が他のペダルのバッファを経由し
ローインピーダンス化されるので、
音痩せは無いものと思って問題ないと考えてます。
また今回使用したMS-70CDRに限らず、
MS-50GやMS-60B等、
ZOOMの他のMultiStompシリーズについても
基本的な構造は一緒だと思うので、
恐らく同じ結果になるものと思われます。
【関連記事】
・ZOOM MS-70CDR
ZOOM MultiStompシリーズは音痩せするのか?2023年05月17日 |
BodyRez VS Session2023年05月09日 |
エレアコの音を生っぽくするペダル
TC ELECTRONICのBodyRezと
L.R.BAGGSのSessionの2種を比較します。
先ずはTCのBodyRezです。
基本的にはエンハンサーという事なので
歪の原理で倍音を強調してくれてるのかなと思います。
また倍音の強調エフェクトと合わせて
マイク録りしたアコースティックギターの音のような
ドンシャリ傾向の周波数特性に補正します。
摘まみを上げると高/低域を持ち上げつつ、
中域を抑えるような動きをします。
対してL.R.BAGGSのSessionですが、
こちらはsaturateとcomp eqのノブがあります。
saturateに関してはその名の通り
歪ませて倍音を強調してるのかなとは思います。
具体的な仕組みまではわかりませんが、
エンハンサーであるBodyRezと
似たような原理なのかなと予想してます。
こちらも周波数特性はドンシャリ傾向に補正されますが、
「saturate」を上げると低域が、
「comp eq」を上げると高域が上がりますので、
ワンノブのBodyRezより少し自由度が高いです。
両者とも倍音成分を持ち上げる効果と併せて
中域が突出しがちなエレアコのサウンドを
生のギターをマイキングした音に
EQ処理で寄せてるような挙動です。
故にギター本体のプリアンプにミッドカットの機能や
モデリング系のエフェクトが内蔵される場合は、
気を付けないと極端なドンシャリになります。
▍サウンド比較(1)
まずはアンダーサドルタイプの
ピエゾにかけた場合の音の変化をみてみます。
私のギターに付けてるピックアップは、
そもそもがドンシャリ気味のサウンドで、
中域が突出したようなセッティングにはできませんので
今回はフラット気味のセッティングで比較しました。
【エフェクトなし】
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
【TC ELECTRONIC BodyRez】

再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら

(※ペダルのセッティングは画像参照)
【L.R.BAGGS Session】

再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら

(※ペダルのセッティングは画像参照)
BodyRezもSessionも煌びやかなサウンドになり、
どちらも近い方向性のサウンドではありますが、
BodyRezはワンノブで高/低域が一緒に動きます。
しかしマイキングしたアコースティックギターの音は、
少しドンが強めのドンシャリです。

低域が強めのギターであればバランス的に
BodyRezの周波数特性は合うんじゃないかと思いましたが、
今回のようなフラット目の出音にかけると、
上の図のようにハイ上がり気味の音になりますので、
可能であれば手元のプリアンプ等で調整するのが良さそう。
次にSessionについてです。
Sessionは高/低域別々に調整できますので
その辺はギターに合わせて融通がききます。
しかしこちらは中域を抑えるような効果はありませんので、
中域が出すぎてるギターには向かない気がします。
▍サウンド比較(2)
先の比較とは逆にギター側で音を作り込み、
エフェクター側をフラット気味にセッティングした音で比較。
こちらは作り込んだ音に対する効果を見るため、
ピックアップ側のセッティングは
マイク/ピエゾのバランスをセンター位置で計測しました。
各ペダルのフラット設定は
スペクトラムアナライザーを用いて
ピンクノイズで計測して割出してます。
BodyRezは摘まみゼロ、
Sessionはsaturateが11時前後/comp eqゼロあたりで
ほぼフラットな出音になります。
この使い方であれば、
ギター側のプリアンプのミッドカット機能や
モデリング系の内臓エフェクトとも併用出来ます。
【エフェクトなし】

再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
【TC ELECTRONIC BodyRez(フラットセッティング)】

再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
【L.R.BAGGS Session(フラットセッティング)】

再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
BodyRezはフラットセッティングだと
出音の印象はエフェクトなしと殆ど変りませんが、
20Khz以上あたりと50hz以下が若干ですが下がりますので、
僅かですが音が締まった感じになります。
Sessionの方はフラットセッティングでも
倍音が少し付加された感じが出てくれました。
音源はピークを合わせるためにノーマライズしてますが、
その際に若干ながら全体的に持ち上がった感じがありますので、
もしかするとコンプの効果も効いてるのかもしれません。
またBodyRezについても若干のコンプ感はあるようで、
突き出した帯域がまとまる傾向にあります。
▍まとめ
出音に多少の違いはあれど
音の方向性はどちらも似たような印象です。
基本的には所持してるギターの特性に合わせて
使いやすい方を選ぶのが良い気がします。
私の見解ではありますが、
出音が中低域寄りのギターであればBodyRez、
フラット気味のギターであればSessionでしょうか。
どちらのペダルも倍音の強調だけでなく
EQ処理は施されてしまうので、
倍音を強調してくれるだけで良いという場合は、
通常のエンハンサーを使った方が良いのかもしれません。
ドンシャリ方向に音が変るという事は、
中域が埋もれていくという事でもあり、
音自体はか細くなっていきますので、
アルペジオメインの方などは特に注意が必要です。
今回の検証ではL.R.BAGGS Sessionは、
Session DIではなく単体ペダルを使用してます。
恐らくSession DIも同様だとは思いますが、
そこは検証できるものが手元にないので、
あえて記事中では触れてませんのでご了承ください。
[関連記事]
・L.R.Baggs Align Series SESSION
・TC Electronic BodyRezレビュー
L.R.Baggs Anthemのボリュームコントロール2023年05月01日 |
ピックアップのボリュームコントロールをいじった際、
ボリュームを下げると音が少しモッサリする気がしたので
スペクトラムアナライザを使用して検証しました。

(※上記画像はイメージ画像として撮ったもので、
今回の検証時の設定ではありません。)
今回の検証はピエゾ側の設定でしてます。
ピエゾの方がマイクよりも癖がないので
スペクトラムアナライザが横並びで見やすいです。
■ボリュームMAXの音

再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
■ボリューム約20%の音

再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
ボリュームコントロールをいじってるので、
当然音量レベルも上下しますが
あくまでも「音質」の検証なので
音量は録音後にノーマライズして合わせてます。
弾いてるのが私なので多少のブレはあるかと思いますが、
結果としてボリュームを下げていくと、
100hz以下の低域が出てくる傾向が確認できました。

スペクトラムアナライザーの画像を重ねたもの。
薄い色にしてる方がボリュームMAX時の計測値。
上記にアップした結果以外にも、
70%〜50%と段階に別けて計測しましたが、
ボリュームを下げた際に
高域側から徐々に減衰していくというよりは、
100hz以上の帯域は一定して下がるような感じです。
この仕様については、
音量を下げた際の迫力不足を
あえて低域を上げる事で補ってるのか
それともエレキギターのボリューム回路のように
回路自体がパッシブなのかは解りません。
ただ結果としてこういう特性なので、
逆手にとって音作りに利用する事も可能ですし、
反対に演奏中の極端なボリュームの変更は、
出音が変ってしまうので気を付けた方が良さそうです。

今回検証に使用したのはAnthem StageProです。
同シリーズの無印AnthemやSLも同様である気はしますが、
その辺は検証できるものが手元にないので
もし検証した方が居られましたら、
コメント欄にでも書いていただけますと嬉しいです。
[関連記事]
L.R.Baggs Anthemのマイクゲイン調整
L.R.Baggs Anthem StageProのEQ設定
L.R.Baggs Anthem StageProレビュー(サウンド編)
L.R.Baggs Anthem StageProレビュー(導入編)