フェンダーアンプのフラットセッティングが、
BASS 0 / MIDDLE 10 / TREBLE 0という話があります。
「フェンダーアンプ フラット」あたりで検索すると
沢山のサイトが出てくるのですが、
以前回路図を用いて説明したこともありますが、
フェンダーアンプのEQ回路は基本的にパッシブ回路で
ブースト機能は付いてないので、
BASS/TREBLE全カットでフラットと言うのが、
個人的にはどうも腑に落ちない。
その理由については
何となく予想してたものもありましたが、
今回はギターアンプのフラットについて、
周波数特性を計って検証いたしました。
▍エレキギターの周波数特性
ギターアンプはエレキギターを繋ぐものなので、
アンプの前にエレキギターの周波数特性の話です。
まずはギターからオーディオI/Fに
直接繋いだ音をスペクトラムアナライザで計測。
[シングルコイル]

[ハムバッカー]

計測は開放弦を鳴らしたときのものです。
エレキギターの周波数特性は、
基本的には中域(MIDDLE)が飛び出した形になってます。
俗にいう「かまぼこ型」と呼ばれる周波数特性です。
シングルコイルよりもハムバッカーの方がその傾向は強いです。
▍ギターアンプの周波数特性
そしてギターアンプの周波数特性です。
私が所持してたフェンダーアンプは
随分昔に手放してしまったので、
使用したのはマーシャルではありますが、
ギターアンプ実機の周波数特性を
ピンクノイズを用いて計測ました。
セッティングはEQバイパス設定にて計測。
バイパス設定はフェンダーアンプをはじめとする
パッシブ回路のEQコントロールを持つアンプであればオール10、
アクティブ回路のアンプであればオール5です。

BASSとTREBLEが突き出した
ドンシャリ気味の周波数特性になります。
全てのギターアンプを把握してるわけではありませんが、
多くのギターアンプはこういった特性になってると思います。
▍足し算の法則
結局のところ殆どのギターアンプは、
エレキギターのかまぼこ型の周波数特性を補正するため、
イコライザー回路をバイパスした状態で
ドンシャリ気味になるように設計されてるものと思います。
ドンシャリ(アンプ)+かまぼこ(ギター)=フラット(出音)
こんな方程式です。
故に「BASS 0 / MIDDLE 10 / TREBLE 0」の設定は
確かにアンプとしてはフラット気味の特性になりますが、
ギターがかまぼこ型なので出音はフラットにはなりません。
ピックアップの素の音に近いサウンドになるはずです。
このセッティングからの音作りを
薦めるコンテンツ(動画やブログ)を
目にする事も多々ありますが、
最終的なサウンドが見えてる上級者ならともかく
この方法は初心者には難しい気がします。
ギターも含めた出音のフラットの出し方は、
アンプとギターの組み合わせにもよるので、
一概にこうだというやり方がないのが、
ややっこしい所ではありますが。
考え方もやり方も人それぞれでだと思うので、
何が正しいという話ではありませんが、
私はエレキギターに関して言えば、
ギターからアンプまで含めて1つの楽器だという観点から、
アンプだけをフラットにする必要性はないと考えてます。