エレアコの音を生っぽくするペダル
TC ELECTRONICのBodyRezと
L.R.BAGGSのSessionの2種を比較します。
先ずはTCのBodyRezです。
基本的にはエンハンサーという事なので
歪の原理で倍音を強調してくれてるのかなと思います。
また倍音の強調エフェクトと合わせて
マイク録りしたアコースティックギターの音のような
ドンシャリ傾向の周波数特性に補正します。
摘まみを上げると高/低域を持ち上げつつ、
中域を抑えるような動きをします。
対してL.R.BAGGSのSessionですが、
こちらはsaturateとcomp eqのノブがあります。
saturateに関してはその名の通り
歪ませて倍音を強調してるのかなとは思います。
具体的な仕組みまではわかりませんが、
エンハンサーであるBodyRezと
似たような原理なのかなと予想してます。
こちらも周波数特性はドンシャリ傾向に補正されますが、
「saturate」を上げると低域が、
「comp eq」を上げると高域が上がりますので、
ワンノブのBodyRezより少し自由度が高いです。
両者とも倍音成分を持ち上げる効果と併せて
中域が突出しがちなエレアコのサウンドを
生のギターをマイキングした音に
EQ処理で寄せてるような挙動です。
故にギター本体のプリアンプにミッドカットの機能や
モデリング系のエフェクトが内蔵される場合は、
気を付けないと極端なドンシャリになります。
▍サウンド比較(1)
まずはアンダーサドルタイプの
ピエゾにかけた場合の音の変化をみてみます。
私のギターに付けてるピックアップは、
そもそもがドンシャリ気味のサウンドで、
中域が突出したようなセッティングにはできませんので
今回はフラット気味のセッティングで比較しました。
【エフェクトなし】
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【TC ELECTRONIC BodyRez】

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(※ペダルのセッティングは画像参照)
【L.R.BAGGS Session】

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(※ペダルのセッティングは画像参照)
BodyRezもSessionも煌びやかなサウンドになり、
どちらも近い方向性のサウンドではありますが、
BodyRezはワンノブで高/低域が一緒に動きます。
しかしマイキングしたアコースティックギターの音は、
少しドンが強めのドンシャリです。

低域が強めのギターであればバランス的に
BodyRezの周波数特性は合うんじゃないかと思いましたが、
今回のようなフラット目の出音にかけると、
上の図のようにハイ上がり気味の音になりますので、
可能であれば手元のプリアンプ等で調整するのが良さそう。
次にSessionについてです。
Sessionは高/低域別々に調整できますので
その辺はギターに合わせて融通がききます。
しかしこちらは中域を抑えるような効果はありませんので、
中域が出すぎてるギターには向かない気がします。
▍サウンド比較(2)
先の比較とは逆にギター側で音を作り込み、
エフェクター側をフラット気味にセッティングした音で比較。
こちらは作り込んだ音に対する効果を見るため、
ピックアップ側のセッティングは
マイク/ピエゾのバランスをセンター位置で計測しました。
各ペダルのフラット設定は
スペクトラムアナライザーを用いて
ピンクノイズで計測して割出してます。
BodyRezは摘まみゼロ、
Sessionはsaturateが11時前後/comp eqゼロあたりで
ほぼフラットな出音になります。
この使い方であれば、
ギター側のプリアンプのミッドカット機能や
モデリング系の内臓エフェクトとも併用出来ます。
【エフェクトなし】

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【TC ELECTRONIC BodyRez(フラットセッティング)】

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【L.R.BAGGS Session(フラットセッティング)】

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BodyRezはフラットセッティングだと
出音の印象はエフェクトなしと殆ど変りませんが、
20Khz以上あたりと50hz以下が若干ですが下がりますので、
僅かですが音が締まった感じになります。
Sessionの方はフラットセッティングでも
倍音が少し付加された感じが出てくれました。
音源はピークを合わせるためにノーマライズしてますが、
その際に若干ながら全体的に持ち上がった感じがありますので、
もしかするとコンプの効果も効いてるのかもしれません。
またBodyRezについても若干のコンプ感はあるようで、
突き出した帯域がまとまる傾向にあります。
▍まとめ
出音に多少の違いはあれど
音の方向性はどちらも似たような印象です。
基本的には所持してるギターの特性に合わせて
使いやすい方を選ぶのが良い気がします。
私の見解ではありますが、
出音が中低域寄りのギターであればBodyRez、
フラット気味のギターであればSessionでしょうか。
どちらのペダルも倍音の強調だけでなく
EQ処理は施されてしまうので、
倍音を強調してくれるだけで良いという場合は、
通常のエンハンサーを使った方が良いのかもしれません。
ドンシャリ方向に音が変るという事は、
中域が埋もれていくという事でもあり、
音自体はか細くなっていきますので、
アルペジオメインの方などは特に注意が必要です。
今回の検証ではL.R.BAGGS Sessionは、
Session DIではなく単体ペダルを使用してます。
恐らくSession DIも同様だとは思いますが、
そこは検証できるものが手元にないので、
あえて記事中では触れてませんのでご了承ください。
[関連記事]
・L.R.Baggs Align Series SESSION
・TC Electronic BodyRezレビュー