ZOOM MultiStompシリーズは音痩せするのか?

2023年05月17日

検索エンジンにて「ZOOM MS-70CDR 音痩せ」のワードで
検索される方が結構いらっしゃるようで、
当ブログにもそのワードでのアクセスが後を絶ちません。
価格が安いので「どうなの?」って
不安に思われる方が多いのかなという気もします。

img-230517_01.jpg

MultiStompシリーズのMS-70CDRは
私もずっと使っておりますが、
個人的には音痩せが気になるような印象はありません。
しかし「感覚」ってのはアバウトなので、
今回良い機会なので検証してみました。


検証方法

img-230517_02.jpg

ピンクノイズを録音したルーパーを用い、
ルーパーからオーディオI/Fに直で繋いだ音と
間にMS-70CDRをノンエフェクトで挟んだ音を
スペクトラムアナライザで視覚化して比較します。


検証結果

[ルーパー→オーディオI/F直]
img-230517_03_direct.jpg

[ルーパー→MS-70CDR→オーディオI/F]
img-230517_04_ms-70.jpg

めちゃくちゃ優秀です。

公式でトゥルーバイパスを謳う説明は見たことがないので、
多少の変化はあるかと思いましたが、
若干ゲインが落ちるぐらいでほぼ変らず。

このゲイン落ちの原因については、
間にペダルが増えたことによる 接点の増加と
パッチケーブルの長さ分の抵抗でしょう。
これはトゥルーバイパスのペダルでも同じなので、
私の中では音痩せの定義には入れてないです。


補足

今回ルーパーから出力したピンクノイズで計測しましたが、
ルーパーから出力した信号はギターからの出力よりも
インピーダンス値は低いと思うので、
信号が劣化しにくいという事もあるかもしれません。

img-230517_05.jpg

その為、検証結果はこのようになりましたが
ギターから直でMS-70CDRに繋いだ場合においては
別の結果になる可能性はあります。

それを検証するには
ピンクノイズの出力信号のインピーダンスを
ギターに近い値に変更する必要がありますので
そこまでは検証できてません。

ともあれこの検証結果から
2台目以降の接続であれば、
信号が他のペダルのバッファを経由し
ローインピーダンス化されるので、
音痩せは無いものと思って問題ないと考えてます。

また今回使用したMS-70CDRに限らず、
MS-50GやMS-60B等、
ZOOMの他のMultiStompシリーズについても
基本的な構造は一緒だと思うので、
恐らく同じ結果になるものと思われます。


【関連記事】
・ZOOM MS-70CDR

タグ:MS-70CDR

BodyRez VS Session

2023年05月09日

エレアコの音を生っぽくするペダル
TC ELECTRONICのBodyRez
L.R.BAGGSのSessionの2種を比較します。

img-230509_01.jpg

先ずはTCのBodyRezです。
基本的にはエンハンサーという事なので
歪の原理で倍音を強調してくれてるのかなと思います。
また倍音の強調エフェクトと合わせて
マイク録りしたアコースティックギターの音のような
ドンシャリ傾向の周波数特性に補正します。
摘まみを上げると高/低域を持ち上げつつ、
中域を抑えるような動きをします。

対してL.R.BAGGSのSessionですが、
こちらはsaturateとcomp eqのノブがあります。
saturateに関してはその名の通り
歪ませて倍音を強調してるのかなとは思います。
具体的な仕組みまではわかりませんが、
エンハンサーであるBodyRezと
似たような原理なのかなと予想してます。
こちらも周波数特性はドンシャリ傾向に補正されますが、
「saturate」を上げると低域が、
「comp eq」を上げると高域が上がりますので、
ワンノブのBodyRezより少し自由度が高いです。

両者とも倍音成分を持ち上げる効果と併せて
中域が突出しがちなエレアコのサウンドを
生のギターをマイキングした音に
EQ処理で寄せてるような挙動です。
故にギター本体のプリアンプにミッドカットの機能や
モデリング系のエフェクトが内蔵される場合は、
気を付けないと極端なドンシャリになります。


サウンド比較(1)

まずはアンダーサドルタイプの
ピエゾにかけた場合の音の変化をみてみます。

私のギターに付けてるピックアップは、
そもそもがドンシャリ気味のサウンドで、
中域が突出したようなセッティングにはできませんので
今回はフラット気味のセッティングで比較しました。


【エフェクトなし】
img-230509_02.jpg




【TC ELECTRONIC BodyRez】
img-230509_04_rez.jpg



img-230509_03.jpg

(※ペダルのセッティングは画像参照)


【L.R.BAGGS Session】
img-230509_06_se.jpg



img-230509_05.jpg
(※ペダルのセッティングは画像参照)



BodyRezもSessionも煌びやかなサウンドになり、
どちらも近い方向性のサウンドではありますが、
BodyRezはワンノブで高/低域が一緒に動きます。
しかしマイキングしたアコースティックギターの音は、
少しドンが強めのドンシャリです。

img-230509_07.jpg

低域が強めのギターであればバランス的に
BodyRezの周波数特性は合うんじゃないかと思いましたが、
今回のようなフラット目の出音にかけると、
上の図のようにハイ上がり気味の音になりますので、
可能であれば手元のプリアンプ等で調整するのが良さそう。

次にSessionについてです。
Sessionは高/低域別々に調整できますので
その辺はギターに合わせて融通がききます。
しかしこちらは中域を抑えるような効果はありませんので、
中域が出すぎてるギターには向かない気がします。



サウンド比較(2)

先の比較とは逆にギター側で音を作り込み、
エフェクター側をフラット気味にセッティングした音で比較。

こちらは作り込んだ音に対する効果を見るため、
ピックアップ側のセッティングは
マイク/ピエゾのバランスをセンター位置で計測しました。

各ペダルのフラット設定は
スペクトラムアナライザーを用いて
ピンクノイズで計測して割出してます。
BodyRezは摘まみゼロ、
Sessionはsaturateが11時前後/comp eqゼロあたりで
ほぼフラットな出音
になります。

この使い方であれば、
ギター側のプリアンプのミッドカット機能や
モデリング系の内臓エフェクトとも併用出来ます。


【エフェクトなし】
img-230509_08.jpg




【TC ELECTRONIC BodyRez(フラットセッティング)】
img-230509_09_rez.jpg




【L.R.BAGGS Session(フラットセッティング)】

img-230509_10_se.jpg




BodyRezはフラットセッティングだと
出音の印象はエフェクトなしと殆ど変りませんが、
20Khz以上あたりと50hz以下が若干ですが下がりますので、
僅かですが音が締まった感じになります。

Sessionの方はフラットセッティングでも
倍音が少し付加された感じが出てくれました。
音源はピークを合わせるためにノーマライズしてますが、
その際に若干ながら全体的に持ち上がった感じがありますので、
もしかするとコンプの効果も効いてるのかもしれません。
またBodyRezについても若干のコンプ感はあるようで、
突き出した帯域がまとまる傾向にあります。



まとめ

出音に多少の違いはあれど
音の方向性はどちらも似たような印象です。
基本的には所持してるギターの特性に合わせて
使いやすい方を選ぶのが良い気がします。

私の見解ではありますが、
出音が中低域寄りのギターであればBodyRez、
フラット気味のギターであればSessionでしょうか。

どちらのペダルも倍音の強調だけでなく
EQ処理は施されてしまうので、
倍音を強調してくれるだけで良いという場合は、
通常のエンハンサーを使った方が良いのかもしれません。
ドンシャリ方向に音が変るという事は、
中域が埋もれていくという事でもあり、
音自体はか細くなっていきますので、
アルペジオメインの方などは特に注意が必要です。


今回の検証ではL.R.BAGGS Sessionは、
Session DIではなく単体ペダルを使用してます。
恐らくSession DIも同様だとは思いますが、
そこは検証できるものが手元にないので、
あえて記事中では触れてませんのでご了承ください。




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[関連記事]
・L.R.Baggs Align Series SESSION
・TC Electronic BodyRezレビュー

L.R.Baggs Align Series SESSION

2023年03月06日

L.R.Baggsから発売されてる、
エレアコの音を生音っぽく補正するペダル
Align Series SESSIONのレビュー記事です。

img-230306.jpg

検証はしてないので断定はできませんが、
おそらく同社のSESSION DIの
DI部分を外したものだと思います。
違った場合は申し訳ありませんが
私もそうだと思って購入しました。
DIは現在使ってるものを使いたかったのもあったので。

ペダルの機能としてはSESSION DIと同様に
サチュレーション効果による倍音の強調と、
軽いコンプでの音の補正です。
近いところでTCのBodyRezも所持してますが、
今使ってるピックアップがL.R.BaggsのAnthemなので、
同社のピックアップとは相性が良いのではという推測と、
コンプの効果を知りたいという理由で
お試しも兼ねて導入してみた次第です。


操作系

ボリューム/ゲインのプリアンプの操作ノブが二つと、
エフェクトの操作ノブが二つ付いており、
公式の説明では以下のように書かれてます。

Analog Saturation:暖かさとハーモニクスを加えます
Compression / EQ:特定の周波数を整えスムースな音にします


上記説明ではエフェクト部分の
効果についてしか触れられておりませんので、
スペクトラムアナライザーで計測ました。

saturateは80hzを中心に400hz以下の周波数帯が持ち上がります。
comp eqは12khzを中心に8khz以上の周波数帯が持ち上がります。


サチュレーション効果やコンプと併用して
ボディ鳴り(低域)とエアー感(高域)の帯域を
EQで調整してるような挙動です。
なのでエフェクト欲しさにノブを回しすぎると
中域が埋もれて細い音になっていきますので、
うっすらかけるぐらいが良いのかなという気がします。

img-230511.jpg

saturate(低域側)の方は11時ぐらいで
バイパス音と同程度のレベルになりますので、
多少はカット側にも余裕はありますが、
comp eq(高域側)はゼロ設定でバイパス音と並びます。
その為こちらはブーストしかできません。

またgainとvolumeについては
一般的なプリアンプの操作と同様に
gainが入力レベル調整、volumeは出力調整です。
思いっきりストロークした際に
クリップランプが点灯する程度でgainを設定して、
エフェクトON/OFF時の音量が変らないように
volumeで調整する感じで私は使用してます。


サンプル音源

私が現在使用してるピックアップ(L.R.Baggs Anthem)は
ピエゾとマイクのデュアルピックアップで、
マイク側でエアー感などを拾いますので、
今回はペダルの効果を見るために
ピックアップのバランスは
アンダーサドルピエゾ全振りに設定してます。

また録音機材も余計な物は挟まずに
ギター→Session→DI→オーディオI/Fで録りました。

[エフェクトOFF]


[エフェクトON]


高域のシャリーンとした煌びやかな部分と、
低域の箱鳴りの部分が前にでて、
ピエゾ特有の神経質なサウンドが緩和します。

ピエゾの音が生音に化けるわけではありませんが、
良い感じで少し生音のイメージに近くなります。
特にストローク時における
ピエゾ特有の窮屈さが薄れてくれるのは
演奏時に非常に助かります。

私が普段ストロークメインの弾き方なので
今回の検証ではストロークだけしか録ってませんが、
単音弾きの場合は中域が目立たなくなる分
音は少し細くなる印象でした。


まとめ

基本的には中域が突出したエレアコのサウンドを、
マイク撮りしたアコースティックギターのように
ドンシャリ傾向のサウンドに調整するペダルです。

今回の検証はピエゾの音でしましたが、
コンデンサマイク付きの
デュアルピックアップシステムの場合は、
ピックアップのマイクで拾った音が
既にドンシャリ傾向にある事が多いと思うので、
その辺は若干注意が必要な気はします。

使い方を失敗すると
極端なドンシャリサウンドになりますので、
その場合は摘まみゼロの設定から
気持ち上げていく感じで音作りすると
良い結果になると思います。
コンプ/サチュレーション効果については、
ゼロ設定でも軽く残ってくれます。

実際に使ってみて
私は今まで使用してたTCのBodyRezと入替で
ペダルボードに組み込むことにしましたが、
どちらが良いというわけではなく、
場合によってはBodyRezの方が
相性が良い事もあるのかなと思ってます。
2機種の違いについては別記事にて紹介いたします。


【関連記事】
・BodyRez VS Session
・TC Electronic BodyRezレビュー




スライサーを解りやすく解説

2022年12月26日

先月、BOSSのスライサー(SL-2)が発売されて
少しスライサーが話題になるようですが、
以前ツインペダルのSL-20が発表された時に
当ブログでもスライサーを話題にしたことがもありました。

その時スライサーと言うエフェクター名を
はじめて耳にしたのですが、
メーカーの商品説明やサンプル音源では効果が解り難くく
若干内容にに的外れな部分もありました。

img221226-01.jpg

今は手元のマルチにスライサーが入っており
ちゃんと理解できてますので
今回はスライサーの解説記事です。


>ビートに合わせてサウンドを分割することで
>リズミカルなサウンドを生み出すエフェクター

(※BOSSのBOSS SL-2の公式説明文を要約して引用)

私もメーカー解説や販売サイトの説明だけでは
どんな効果か見当がつきませんでしたが、
スライサーの効果自体はスイッチング奏法のオートバージョンです。

近いエフェクターだとトレモロが近いと思います。
トレモロは設定した周期で音量が滑らかに変化します。
いわゆる「正弦波」と呼ばれる変化の仕方です。
スライサーはそれを極端にして音量ZEROとMAXになった感じです。
波の形は「矩形波」と呼ばれるもので音のON/OFFが交互になります。

img221226-03.jpg

各メーカーのスライサーペダルはタップテンポ対応だったり
SFX系の複合エフェクトなどの付加機能が付いてたりしますが、
スライサーの基本的な効果は上記のものになります。

トレモロペダルでも
正弦波/矩形波の切替機能が付いてるものであれば、
付加機能や後述する周期(波)のパターン設定を除けば
スライサーと同様の事が可能です。

中身を知ってしまえば、
「なんだそんな事か」というようなエフェクターでした。


ノンエフェクトのドライ音に
スライサーだけをかけただけのサンプルです。



ON/OFFのパターンは一定(4/8/16分刻み)だけではなく、
シャッフルなど色んなパターンに設定しすることもできます。
(※パターンの数はメーカー/機種によって変ってきます)



音よりも目で見た方が解りやすいので、
波形データの画像です。

img221226-02.jpg
8部刻みのパターンです。

このサンプルパターンなら
波形切替機能がついたトレモロペダルでも同じ事が可能ですし、
アナログ回路でもできそうですが、
シャッフルを始めリズミカルなパターンにも設定できるのが
スライサーならではの部分でしょうか。

また同じ事を手動(スイッチング奏法)でやろうとすると、
片手はセレクター操作をする必要がありますが、
両手が空いて演奏しながらこういう効果が出せるってのは、
使い方次第で面白いサウンドが生み出せそうです。


スライサーがよく解ってなかったころは
もっとデジタルな効果が全面に出たものだと思ってましたが、
ノーマルのストラトでスイッチング奏法を可能にするペダルと思えば、
ちょっとボードに入れたくなるエフェクターでした。

あとディレイやピッチシフターと組合わせると、
アルペジェーター的な事も出来そう。流石にしませんけど。

ZOOM MS-70CDR

2022年12月15日

ライブ時の飛び道具用に購入してここ数年愛用してます
ZOOM MS-70CDRの紹介/レビュー記事です。

img221215-01.JPG

私が今はアコギでのライブがほとんどなのと、
エレキの時は歪系は好きなものを使いたいので
ギター用に特化した同シリーズのMS-50Gではなくこちらにしました。
(※理由は後述しますが今買うならMS-50Gを選びます)

まずは操作性からです。

操作性

img221215-02.JPG

ディスプレイ下の3つのダイヤルスイッチと
フットスイッチ及びその周囲に配置された十字キーで操作します。
結構直感的に操作できますので
操作方法が解らずにマニュアルを開いたのは数えるほどしかありません。
マルチに慣れてる方ならほぼマニュアルレスで使えると思います。

img221215-03.JPG

十字キーの真ん中にスイッチがあるのは邪魔ですが、
コンパクトな筐体にコントロール系も詰め込んでますので、
そこはサイズとのトレードオフと思い納得してます。

写真に写ってるフットスイッチハットは後付けですが、
これを付けると余計に操作性は落ちます。
でもフットスイッチハットがないと裸足で踏むとき痛いので
それもトレードオフ。


搭載エフェクト

発売当時はMS-50Gの揺れもの/空間系の
特化・強化版として発売されたMS-70CDR。
MSシリーズのファームフェアアップデート前は
その認識で問題ありませんでしたが、
後のアップデートでMS-50Gに揺れもの/空間系が追加された為
揺れもの/空間系の搭載エフェクトがほぼ同じになったとの事。

細かい搭載エフェクトの詳細については
メーカーサイトを見れば良いので、
兄弟機種のMS-50Gとの違いを説明します。

以下はMS-70CDR/MS-50G両者のマニュアルを見比べて
MS-70CDR独自のエフェクトをリスト化したものです。

人力でリストアップしてますので見落としはご容赦を。

----------------------------------------------------------
・Ba Chorus:ベース用コーラス
・Ba Detune:変調感の少ないベース用コーラス
・Ba Ensmbl:立体的な動きが特徴のベース用コーラスアンサンブル
・Ba Flanger:エフェクト音の低域をカットできるフランジャー
・Ba Octave:原音に1オクターブ下の音を加えるエフェクト
・Ba Pitch:ベースの帯域に適した単音弾き専用のピッチシフター
・160 Comp:dbx 160A風のコンプレッサー
・Limiter:入力信号が一定のレベルを超えたときに圧縮するリミッター
・DualComp:低音域と高音域で異なるコンプレッション効果
・Ba GEQ:ベースの帯域に適した7バンドのグライコ
・Ba PEQ:ベースの帯域に適した2バンドのパライコ
・Splitter:信号を2つの帯域に分割
・Bottom B:低音と高音を際立たせます
・BaAutoWah:ベース用オートワウです
・Z Tron:Q-TronのLPモード風のエンベロープフィルター
・A-Filter:エンベロープの動きが急峻なレゾナンスフィルター
・Ba Cry:ベースの帯域に適したトーキングモジュレーター
・St Bs GEQ:ベースの帯域に適した7バンドのステレオグライコ
----------------------------------------------------------
(※2022年12月現在)

リスト化するとMS-70CDR独自エフェクトはほぼベース用です。
これらも恐らくベース用のMS-60Bには入ってるかと思いますが、
上記リスト化で疲れてしまってそこは未確認です。

逆にMS-50Gに搭載されてる歪系やアンプモデルは
MS-70CDRには搭載されてませんので、
今となってはステレオ入力が不要な場合においては、
ギターリストがMS-70CDRを選ぶ理由はないように思えます。

もしかするとアコースティックギターにおいては、
ベース用のエフェクターの帯域の方が
ハマる事もあるかもしれませんが、
最近は全然時間がとれてないのでその検証は保留中。

エフェクターを沢山使われる方であれば
例えばMS-50Gの後ろにMS-70CDRを繋げば
MS-70CDRのステレオ入力も役に立ちますし、
同時エフェクト数12個という中々凄い事にはなりますが、
ちょっとエフェクトの切替えが大変そうなので、
実用性部分で疑問は残ります。


サウンド

一つ一つ搭載エフェクトの音を解説してるとキリがないので、
私が作成した実際にライブで使用してるプリセットの
3点だけサンプル音源を作成しました。

■アルペジオ用のコーラス



■ディレイ+コーラス+リバーブ


■ボンバー


最初のコーラス意外は飛び道具で使用してます。
ノイズも少なくクリーンな印象のサウンドです。
サンプリングクオリティは高級機には及びませんが、
個人的にはライブ使用前提なら必要十分です。

上記以外のエフェクターでは
Exciter(ソニックマキシマイザーのモデリング)を良く使います。
音が抜けないけれどEQをいじるのは違うって時に重宝してます。
(※これはマメに調整したいのでいつか実機が欲しい)


欠点

パッチメモリーを使用すれば
ペダルでプリセットの切替えもできますが、
登録したプリセットが順番で切替わるだけなので、
曲の中で一部のエフェクトをON/OFFしようと思うと
不可能ではありませんがかなり手間がかかります。

結果的にプリセットの切替えが必要な際は、
私は屈んでボタン操作してますが、
頻繁にエフェクトを切替える方はMSシリーズではなく
フットスイッチが複数付いてる機種を導入した方が良いです。

このシリーズで外部フットスイッチが使える
ニューモデルを出してくれたら嬉しい限り。


まとめ

エフェクトも6つまで同時使用できますし、
ライブ時に一度しか使わないようなエフェクトで、
ペダルボードのスペースを使うのもどうかって時に
これが一台入ってると代用できて便利です。

本機のこの音が実機の音よりも好きだ!ってエフェクトが
今後使い続けてたら出てくるかもしれませんが、
今のところは見つけれてません。
また何か気付いた事がありましたら記事にいたします。

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ちなみに電源アダプター付きとアダプターなしのモデルがあります。
私は電池駆動が可能な事とライブでの使用時は
基本的にパワーサプライからバッテリー供給するので
アダプターなしを買いました。


【関連記事】
・ZOOM MultiStompシリーズは音痩せするのか?

タグ:MS-70CDR

BBQ金網を使ったエフェクター固定法

2022年12月05日

先日ボードの中身を組み替えました。
一般的な固定方法とは違うやり方でやってますので、
この機会に私のペダルボードの組み方を紹介します。

img221205-01.JPG

BBQ用の金網を用いヘアゴムを裏からSカンで止めて固定してます。
金網はボードのサイズを計って近いサイズのものをネット通販で、
Sカンはホームセンターで購入。

img221205-02.JPG

直接金網にエフェクターを乗せると、
本体が傷つきますので間に印鑑マットを挟んでます。
滑り止めにもなりますしハサミでカットできるので、
容易にサイズの調整ができます。100均や文具店で手に入ります。
印鑑マットは表から見えてしまうとカッコ悪いので、
エフェクター本体よりも一回り小さくカットしてます。

img221205-03.JPG

高さ調整はコルクボードをカットして間に入れてます。
コルクボードは顔料(市販のアクリル絵具)を用いて黒く着色してますが
素材がボロボロと崩れるのを防止する為と見た目の問題です。
※スプレー缶が使える環境ならラッカースプレーの方が良いです。
(塗膜も強いしムラなく塗れますので)

img221205-04.JPG

踏んだ時にずれて動いてしまうペダルには
滑り止めマットをカットして間に入れてます。
こちらも100均で入手できるものです。


エフェクターを傷つけたり汚したりせずに、
入替が容易な方法を模索してこの方法を思いつきました。
自由度は定番のマジックテープの方が上ですし、
固定力は豆カンを使ったネジ止めの方が上ですが、
このやり方はバランスに優れてると個人的には思ってます。

自由度:マジックテープ>BBQ金網>豆カン
固定力:豆カン>BBQ金網>マジックテープ


金網の強度に限界があるので、
大きなボードには向かないと思いますが、
小さなボードで気軽にペダルを入替えたい方にはお勧めです。

これで何年も使ってますが、
ケースを開けてエフェクターがバラバラになってたりした事は
今のところありません。


近い方法としてキッチンの棚などに使用するワイヤーネットに
結束バンドでエフェクターを固定する方法もありますが、
長期間使えば背面及び結束バンドが当たる部分に
擦り傷が入る恐れがあるので私は採用しませんでした。

Mooer Blues Mood

2022年11月10日

今年に入って買った歪ペダルの一つ。
「Mooer Blues Mood」のレビュー記事です。

img221110-01.jpg

近年「コストパフォーマンスが凄い」と話題になってる
いわゆる中華ペダルと呼ばれるペダルの一つです。
Mooerは他の中華ブランドと比較すると若干値段は高いのですが、
それでも販売価格で8千円前後と十分安い価格帯です。

このBlues Moodは
Boss BD-2(ブルースドライバー)のクローンとのことですが、
FATスイッチが付いてるあたりが、
BD-2クローンとはいってもKeeley Modあたりが
ベースではないかと予想してます。

ただ手元にBD-2もBD-2 Keeley Modもなく
比較レポは出来ませんので単体でのレビューになります。

記事中のサンプル音源作成にあたっては
解りやすいようにAmpliTubeでJC-120のモデリングを使用しました。
別のペダルのテストの際に何度か検証してますが、
実機でも同じセッティングで同じような音が出ます。
(※実機のコンディションにもよります。)
(※その辺は臨機応変で微調整を。)

ギターはBD系ならシングルコイルで使いたいという
個人的な好みで申し訳ないですがストラトを使用してます。

■Blues Moodのセッティング
・FATスイッチ:ON
・GAIN:12時〜1時前後
・TONE:12時〜1時前後
・LEVEL:適宜

(※記事最初の画像ぐらいのセッティングです。)

セッティングを変更した音源を数種類作成しても良かったのですが、
今回の使用機器の組合わせではこのセッティングがツボでした。


またアンプのセッティングは以下のセッティングでやってます。
マイキングの設定はデフォルトのままです。

img221110-02.jpg

img221110-03.jpg

接続はギターからBlues Moodを通してオーディオI/Fへ入力。
軽くDAW上でリバーブをかけてます。

■バッキング



■アルペジオ


■リード


ピックアップは全てフロントです。
ストラトの美味しいところが出てくれました。
ピッキングやギター側のボリューム追従がとても良いです。

TS系のようなマイルドな歪ではなく荒々しい歪ですが、
ディストーションやファズとはまた違うイメージ。
個人的にフェンダーアンプの歪み方にこんな印象を持ってます。

また使ってみて思った以上に歪むなという感想です。
歪むといってもコンプレッション感は少なめなので
メタル系での使用は難しいと思いますが、
(メタルやるのにこれを使いたいという方はいないと思いますが)
GAINを上げれば70年代のハードロックぐらいまでは
十分カバーできそうな歪量です。

少し調子に乗ってGAINを上げて
HM/HR風なイメージでリフを弾くとこんな感じでした。

■HM/HR風リフ



最後にオケとの馴染みをチェック。
オケは自作ではなくフリーの音源を使用してます。



編集はMIX向けのコンプを2ミックス後にかけただけです。
厳密には「どこどこの帯域がぶつかってる」とかあるかもしれませんが、
とりあえず軽く聞いた感じでは、そのままでも良い感じになりました。


【まとめ】
Bluesって品名なのでブルース向けかというと、
結構幅広い感じで使えそう。

アタックをはじめアクセントが出しやすいので、
シングルコイルピックアップ系のギターとの相性は
やはりとても良いと思いました。
特に気になるようなノイズもなく、
かなり優秀なペダルという印象ですが、
いくつか気になった点もあります。


【気になった点】
ゲインを上げると音量も上がります。
オーバードライブペダルというよりはプリアンプ的な挙動です。
普段は問題ありませんが、ライブ中など時間がないときに
「音量はそのままで歪を上げたい!」と思ったら、
摘まみを二ついじる必要があるのでそこは少し面倒です。

またトゥルーバイパス仕様で
ON/OFFの際にスイッチングノイズが多少有ります。
気になる方はスイッチャーは必須かなと思います。


今回はあくまで歪系ペダルとしてレポートしましたが、
ブースターとして使った場合は、
また別の局面も見えてくるのかなという気もしますが、
色々やると長くなりますのでこの辺で。


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TC Electronic BodyRezレビュー

2017年03月17日

少し前に入手してた
TC Electronicのアコースティックエンハンサー
『BodyRez』のレビュー記事です。

img-170317-01.jpg

ピエゾピックアップ特有の音、
いわゆる“ピエゾ臭さ”を
緩和する事に特化したエンハンサーです。

あくまでも推測ですが、
ピエゾでは拾いにくい
ボディ鳴りの部分の帯域を持ち上げて、
独特のブリブリ感の帯域を
下げてるんじゃないかと思います。

----------[追記 2023-05-08]----------
スペクトラムアナライザーで計測できるようになったので、
各周波数への影響を確認いたしました。

ノブを上げていくとドンシャリ方向に補正されます。
80hz/12khzあたりが持ち上がるのと併せて
800hzあたりを中心に下がっていく感じです。
------------------------------------------

使ってみると実際に
それっぽく(生っぽく)なってくれます。
ただ、サンプリング/モデリング系の味付を
してくれるわけではないので、
ピエゾの音がマイク録りのサウンドに
化けたりはしません
ので、
過度の期待は禁物です。

私はあえてBodyRezを選びましたけれども、
今は優秀なサンプリング/モデリング系の
アコースティックプリアンプもあるので、
特にこだわりがないんだったら、
正直、そっちを使った方が
手っ取り早くピエゾサウンドの悩みから
開放される気はします。

【機能/仕様】
コントロール系はエフェクトレベルの1ノブのみですが、
エフェクトレベル以外にも、
スイッチの操作で以下の機能が使えます。

・スイッチ長押しでミュート。
・スイッチを押した状態で電源ONで位相反転


筐体がかなり小さい事もあり、
電池は使えずアダプターのみの仕様です。

img-170317-02.jpg

パッケージにはアダプターも付属してます。


【サウンド】
サンプル音源を作成しました。
使用したギターはアンダーサドルピエゾの
YAMAHA CPX-7です。

テスト環境は以下の通りです。
ギター(YAMAHA CPX-7)→BodyRez→
BSS AR-116→RME Fireface UC


■エフェクトOFF



■エフェクトON



ピエゾの神経質な音が
若干ながら緩和されます。

専用の工具がないと
筐体が開けれないようになってる為
確認はできてませんが、
恐らくデジタル処理なんじゃないかと予想。

しかし、デジタル系処理でよくみられる
あざとさのようなものは一切なく、
非常にナチュラルな印象で、
逆にエフェクトOFFの方が
無機質で不自然な気さえします。

これでピエゾ臭が
完全に消えるわけではないものの、
ペダルを通さないよりは
通した方が断然良い感じになりますので、
ピエゾピックアップのエレアコを使う際の、
常用ペダルとして使っていこうと思ってます。

また、これに近いものとして
BOSSのAD-2がありますが、
そちらはコントロール系も複数ついてますし、
音質的にはどう違うかなど、
いつか使う機会があれば試してみたいところです。

(※同商品を扱う楽天ショップへのリンクです。)

BOSS MT-2(METAL ZONE)を入手

2015年05月08日

中古ショップで発見したので、
BOSS MT-2(METAL ZONE)を入手しました。

img 150507

昔から出回ってる機種ですし、
今更感アリアリで、
レビューも必要ないと思いましたが、
テストがてら音源を作りましたので、
せっかくなのでアップします。

先ずはセッティングです。
アンプはGuitar RIG4の
JC-120を使用しました。

img 150507(アンプセッティング)
(※クリックで拡大)

アンプのセッティングは全て同じで、
EQは全てフルテン。
音源によっては、
マイキングのAIR/DRYを少し調整してます。

ギターはいつものHEARTFIELD TALONを使用。
接続はギター→MT-2→PCです。
他は編集時に軽くリバーブをかけてますが、
後は一切手を加えてません。


■ソロ
img 150507


ローミッドを強調して、
少し太い感じにセッティングしました。
ミッドブーストされたような印象の音になります。


■バッキング
img 150507


原曲のイメージに合わせて、
ハイミッドを強調。
オケは拾い物です。
良い具合にローカットされて、
何も編集しなくても
オケに馴染んでくれます。


セッティング次第では、
中域に良く言われてる
コワっとしたニュアンスの癖がでます。

好き/嫌いあると思いますが、
個人的にこの癖は、
ランディ・ローズのそれに
似てる気がしてちょっと楽しい。
なので最後にランディのリフ。

img 150507


ちょっと撮影の角度が悪くて、
ミッド FREQが写ってませんが、
12時のセッティングで軽くブーストしてます。

実際に比較すると似てないんでしょうが、
単体で聞く分には良い感じです。


MID EQが美味しいところに利くので、
音作りの幅も中々広く、
便利なペダルだなと感じました。
非常に使いやすいです。

4PのHM/HRバンドなら、
JCとこれで十分戦えそう。

(※写真は同商品を扱う楽天ショップへのリンクです。)


エフェクトループミキサー/スイッチャー

2015年01月24日

img 150124

意外と選択肢がない
ミキサータイプのループスイッチャー。

写真はDecibel Elevenという海外メーカーから、
1〜2年前に発表されたもの。

昔、これのラック版が欲しかったのですが、
探してもボブ・ブラッドショウのしか見つけきれず、
こんな高価なもの買えるかよ!って諦めました。

普通のスイッチャーと何が違うかというと、
通常はエフェクトループのON/OFFですが、
ミキサータイプの場合は、
エフェクターをパラレル(並列)で繋げますので、
エフェクターを通らない音と
エフェクト音のバランスが設定できます。
即ち、劣化してない原音を残せます。

近年のエフェクターは、
音痩せやノイズも昔とは随分ちがうので、
そこまでしなくて良い気もしますが、
音に神経質になればなるほど、
こういうのって欲しくなる気がします。

ただ、各メーカーが
同種の商品を出さない所をみると
需要は少なそうです。

エフェクトループ1chの単体ペダルなどは、
ぼちぼち見かけますが、
冒頭の写真のペダルタイプのやつと
ブラッドショウのシステム以外に、
この手の商品は記憶にないです。

特別購入しようと思ったわけでもないので、
ざっくりとしか調べておらず、
私が知らないだけかもしれませんが。

正直、私も欲しかったというだけで、
今はそこまで欲する事はないですが、
昔欲しかったけど売ってなかったものが、
こうやってメーカーから発売されると、
ちょっとワクワクします。

買いませんけどね。(^^;)